検査の現場に垣根はいらない──誰もが使える品質管理のための技術

はじめに

ダイカスト現場の中でも、「ダイカスト外観検査」という工程には、特有のイメージがつきまといます。この部署では、「女性の目は細かいから検査に向いている」という言葉が、今でも現場で聞かれることがあります。
実際、工場によっては、検査工程のほとんどを女性が担っているというケースも少なくありません。

けれど、それは本当に「適性」だけの問題なのでしょうか?
あるいは、他の誰かがその仕事に向いていないと、決めつけてしまってはいないでしょうか?

判断の属人性から、技術の再現性へ

製造業の外観検査業務において、判断基準を明確にするための限度見本、検査基準を明確にすることは言うまでもありません。しかし、外観検査は伝統的に、経験と「目の感覚」に頼る作業とされてきたがゆえに、「検査はベテラン女性の仕事」「新人や男性には難しい」といった雰囲気が、暗黙のうちに定着してきた歴史があります。

しかし、AI外観検査の導入によって、誰でも理解し、同じように再現できる環境が整いつつあります。

「誰でも扱える」ための設計とは

私たちの外観検査装置では、操作画面も直感的に使えるよう設計されており、

  • 製品の選択

  • 検査結果の確認


    といった操作は、特別な技能を必要としません。

検査という仕事を「誰かの感覚に依存するもの」から、「誰でも関われる改善の入口」へと変えていきます。

「その人だから」ではなく、「誰もができるように」

もちろん、検査の仕事に長年従事してきた方の経験は、今でも現場にとって貴重な財産です。
しかしそれは同時に、「誰かを育てられる力」でもあります。

「細かいところに気づくのは女性だから」
そんな言葉で終わらせるのではなく、
「細かく気づけるように設計された装置だから、誰もができる」という発想へ。

AI外観検査は、検査という仕事のハードルを下げ、関われる人を広げる技術だと私たちは考えています。

おわりに

品質を守るのに、性別も年齢も関係ありません。この装置が、より良い現場づくりの一助となれば、それは私たちのものづくりにとっても大きな誇りです。

Shinya Kataoka

I serve as Director & Factory Manager at KYOWA CASTING (Thailand) Co., Ltd., and am the Founder & CEO of The 7th Engineering Co., Ltd. With a background in aluminum die-casting and mechanical engineering, I developed IVI-360™, an AI-powered 360-degree visual inspection system designed specifically for die-cast products.

https://ivi-360.com
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“使い切る”ものではなく、“繰り返し使える”素材へ──アルミダイカストと持続可能な製造のかたち