AI搭載のダイカスト製品向け 全周囲 外観検査装置
IVI-360™︎について
IVI-360™は、アルミダイカスト製品、鋳造品向けに開発された、AI搭載の自動外観検査システムです。
ダイカスト製造現場で実際に得られた課題から生まれたこの製品は、中小規模工場や海外工場でも導入しやすいよう、簡単にセットアップできること、量産での良好な操作性と各部の耐久性を重視しています。
7自由度(6軸ロボット+回転ステージ)により、検査対象物を360度全周囲から自動撮像し、AIが不良を自動判定します。
「IVI-360™」という名称には、本装置の技術コンセプトと特長が端的に表現されています。
「IVI」はIntelligent Vision Inspection(インテリジェント・ビジョン・インスペクション)の略であり、AIによる画像検査を意味しています。
また「360」は、製品を反転させることなく、1台のカメラと回転ステージにより360度全周囲から撮像を行うことができるという本装置の最大の特長を象徴しています。
※「NACHi」は、株式会社不二越の登録商標です。(第4340845号/JPO: T4340845)
※「IVI-360」は、株式会社 第七機械設計の登録商標です。(第6941983号/JPO: T6941983)
人による目視検査の役割と課題
IVI-360™の開発にあたっては、ダイカスト製造現場の「現実を踏まえること」と「実現可能なところから実行する」という姿勢を重視しています。私たちの目標は、目視検査を単に自動化で置き換えることではなく、「人間の判断力」と「柔軟性」という本質的な強みを尊重しながら、検査業務の負荷を軽減し、結果として「製品品質の安定化」を図ることです。
農業機械部品や自動車部品など、製造業の現場では、熟練の検査員が経験に基づいて微細な異常を見抜くというプロセスが、今なお重要な役割を担っています。その繊細な判断力は、AIやビジョンシステムだけでは簡単に再現できるものではありません。
特にダイカスト製造においては、金型や条件のわずかな変化によって生産品にある程度のばらつきが生じることが前提となっており、その中で安定した品質を保つためには、検査段階での柔軟な対応力が欠かせません。
もちろん、品質管理の基本は「不良を作らないこと」にあります。すなわち、設計や金型、鋳造条件管理といった源流での対策こそが最も重要です。しかし現実には、コストや納期の制約から、すべてを源流で解決することは困難であり、現場では「流出防止」という検査の役割が今も求められています。
こうした背景を踏まえ、IVI-360™は、「品質管理を担う皆さまを支えるパートナー」として設計されています。ダイカスト外観検査という注意力や集中力が試される過酷な環境の中で、少しでも負荷を軽減し、安定した品質を共に作り上げる存在でありたいと考えています。
目視検査のメリットとデメリット
⭕️ 目視検査のメリット
☺️柔軟な判断力:形状のばらつきや判定基準変更に即時に対応可能。
☺️初期投資が少ない:専用装置が不要で、立ち上げが早い。
☺️経験に基づく高度な判断:長年の経験により、機械では気づかない微妙な異常を発見できる。
☺️多品種少量に強い:製品の切り替えが多い現場でも対応可能。
❌ 目視検査のデメリット
😢検査精度のばらつき:作業者によって基準や感度が異なる。
😢疲労・集中力低下によるミス:長時間作業により、見逃しや誤判定が発生。
😢作業者教育・維持管理が必要:常に基準を保つためには教育とチェックが必要。
😢トレーサビリティに弱い:検査結果の記録が曖昧になりやすい。
目視検査は柔軟で多様な状況に対応できる一方、属人的で疲労や気分の影響などでばらつきやミスのリスクが伴います。現代の製造現場では、目視検査のメリットを活かしつつ、疲労低減のためにAIや機械検査と併用する「ハイブリッド型検査」が主流となりつつあります。
AI異常検出とは?
AI異常検出とは、「いつもと違う状態やパターン」をAIが自動で見つける技術です。
たとえばダイカストの現場では、素材であれば「湯回り不良」、「バリ残り」、「打痕」などを、高速かつ安定して検出することが求められています。
従来の検査は、しきい値や寸法など決まった基準に基づいて異常を見つける「ルールベース型」でした。この方法は単純な異常には有効ですが、複雑な形の変化や微妙な欠陥には対応が難しいことがあります。
ところでAIは、「正常な製品」と「異常な製品」の画像データをたくさん学習することで、その違いを自分で覚え、目視検査と同じくらいの精度で不良を見つけられるようになります。
図は、たくさんの葉の中に鳥が1羽まぎれている場面を描いています。これは、生き物の脳が「これは他と違う」と気づくイメージを表したものです。私たち生き物は、ただ形や色を見るだけでなく、周りとのバランスや配置をふまえて「違和感」を感じ取ります。
AIもこれをまねることで、より正確に異常を見つけられるようになります。